世界の農家の17%が生成AIを利用。マッキンゼー調査で「農業で最も速く広がる技術」に
世界の農家の17%が生成AIを利用。マッキンゼー調査で「農業で最も速く広がる技術」に【2026年9月】

マッキンゼー(McKinsey)の調査で、世界の農家の17%が生成AI(文章や画像などを新しく作り出すAI)を農作業関連のタスクに使っており、農業のなかで最も速く広がっている技術の一つだと報じられました(Bloomberg 2026年9月8日(火)報道)。ロボットや電動機械、持続可能性向けのソフトウェアが農場ではあまり広がっていないのと対照的です。この17%は、生成AIを業務に利用している人の割合(利用率)で、AIに頼りきっている度合いを示すものではありません。地域差もあり、とくに米州(南北アメリカ)で採用が速いと報じられています。この調査は、10か国・5,500の農家を対象に2026年4〜6月に集めたアンケート(標本調査。全員ではなく一部に尋ねて全体の傾向を推し量る調べ方)で、数字には幅があります。最先端だから広まった、というより、コストの高止まりや人手不足、天候の不順といった切実な経営課題への対応として、新しい道具に手が伸びている、という読み方が近いようです。
この記事のポイント
- マッキンゼーの調査で、世界の農家の17%が生成AIを農作業関連のタスクに利用。農業で最も速く広がっている技術の一つと報じられました(Bloomberg 2026年9月8日(火)報道)
- ロボット・電動機械・持続可能性向けソフトが農場で伸び悩む一方、生成AIだけが速く普及。「他のどの技術より速い」という相対的な事実で、「農業が最先端になった」という話とは異なります
- 17%は「利用している人の割合(利用率)」で、依存度を示すものではありません。地域差があり、とくに米州(南北アメリカ)で採用が速いと報じられています
- 調査は10か国・5,500農家・2026年4〜6月のアンケート(標本調査)。全数調査ではないため、17%という数字には幅があります
- 背景は切実な経営課題。投入コスト(種苗・肥料・燃料・人件費など)の高止まり、人手不足、天候の不順、政策の不確実性への対応として手が伸びていると説明されています
何が起きたのか
マッキンゼー(McKinsey)が2年ごとに行う調査「Global Farmer Insights 2026」で、世界の農家の17%が、作付け計画や日々の意思決定といった農作業関連のタスクに生成AIを使っていることがわかりました。マッキンゼーは、これが農業のなかで最も速く広がっている技術の一つだとしています。
対照的なのが、ロボットや電動の機械、持続可能性向けのソフトウェアです。これらはいずれも農場での普及が低調で、農家が新しく採り入れる技術としては、生成AIのほうが速いという結果でした。つまり「農業がいちばんの最先端になった」という話ではなく、「他の技術が伸び悩むなかで、AIだけが速く広がっている」という相対的な事実です。
この調査は、10か国・5,500の農家を対象に、2026年4〜6月に回答を集めたアンケートです。全員を数え上げた全数調査ではなく、一部に尋ねて全体の傾向を推し量る標本調査なので、17%という数字にも幅があります。地域差もあり、とくに米州(南北アメリカ)の農家が、日々の判断を助けるためにAIを速く採り入れていると報じられています。
なぜ「頼りきり」ではなく「手が伸びる」なのか
ここで注意したいのは、17%という数字の読み方です。これは生成AIを業務に「利用しているか」の割合で、判断をAIに丸投げしている度合いを表すものではありません。「農家がAIに頼りきっている」という理解からは、少し離れています。
では、なぜ最先端から遠そうに見える農業で、AIがこれほど速く広がっているのか。マッキンゼーが挙げるのは、派手な技術への憧れよりも、切実な経営課題のほうです。投入コスト(作物を育てるためにかかる費用。種苗・肥料・燃料・人件費など)の高止まりと変動、人手不足、天候の不順、地域ごとの政策の不確実性。こうした重なりに対応するために、比較的手軽に試せて、すぐに助けになりそうな道具として、生成AIに手が伸びている、という構図です。
裏を返せば、大がかりな設備投資が要るロボットや電動機械は、こうした厳しい状況ではかえって採り入れにくい、とも言えます。安く早く試せることが、農場でのAIの速い普及につながっているようです。
日本の読者にとっての意味
数字はあくまで世界10か国をまとめたもので、日本だけを取り出した割合ではありません。そのうえで、この調査が照らすものは、日本の農業とも地続きに見えます。高齢化と担い手不足が進むなかで、限られた人手で経営判断や段取りを回す助けとして、新しい道具に手が伸びる流れは、想像しやすいのではないでしょうか。
大切なのは、「農業がAIで最先端になった」という単純化や、「農家がAIに頼りきる」という誇張よりも、「切実さが、新しい道具を先に見つける」という順番のほうを読むことだと思います。派手さに引かれてというより、目の前のコストや天候や人手に追われた人ほど、いちばんよく効きそうな道具へ手を伸ばす。その動き方は、農業だけでなく、広く見られるものです。
まとめ(FAQ)
Q. 農家の17%はAIに頼りきっているのですか?
A. いいえ。17%は生成AIを農作業関連のタスクに利用している人の割合(利用率)であり、依存度ではありません。あくまで使っているかどうかを示す数字です。
Q. 世界のどこでも同じ割合なのですか?
A. 一律ではありません。地域差があり、とくに米州(南北アメリカ)で採用が速いと報じられています。
Q. 「農業が最先端になった」ということですか?
A. 他の技術(ロボットや電動機械など)が伸び悩むなかで、生成AIだけが速く広がっているという、相対的な事実を指します。
Q. どうやって調べた数字ですか?
A. マッキンゼーが10か国・5,500農家を対象に、2026年4〜6月に集めたアンケート(標本調査)です。全数調査ではないため、数字には幅があります。
Q. なぜ農家はAIに手を伸ばしているのですか?
A. 投入コストの高止まり、人手不足、天候の不順、政策の不確実性といった切実な経営課題への対応と説明されています。「効率化のため」の一言で片づく話ではありません。
検証メモ(出典と確認の範囲)
- 17%・5,500農家・10か国・2026年4〜6月・米州先行は、マッキンゼーの調査「Global Farmer Insights 2026」の結果を、Bloomberg(2026年9月8日(火))が報じ、Yahoo FinanceやInsurance Journalが再掲したものです。
- 一次はマッキンゼーの調査で、推計ではなくアンケート回答にもとづく標本調査です。数字には幅があります。
- 「農業で最も速く広がる技術の一つ」は、ロボット・電動機械・持続可能性向けソフトの普及が低調であることとの相対的な比較です。
- 採用の背景(投入コスト高・人手不足・天候不順・政策の不確実性)はマッキンゼーの説明によります。
- 本調査は世界10か国が対象で、日本単独の数字ではありません。日本への言及は一般的な文脈にとどめています。
- 掲載日(2026年9月13日(日))時点で、日本語一般媒体の扱いは限定的です。
Quotidia の視点
最先端だから広まった、と考えるのが自然なところに、この調査は逆の順番を差し出してきます。世界の農家の五人に一人近くが、すでに生成AIを農作業に使い始めていて、ロボットや電動の機械よりも速く広がっている。マッキンゼーがそう報告したと、Bloombergが伝えました。ここで見たいのは、その速さの理由です。農業が一躍、最先端になったという話ではありません。むしろ、コストの高止まり、人手の不足、読みきれない天候。そうした切実な重なりに追われた人ほど、いちばん手軽に、いちばんよく効きそうな道具へ手を伸ばす。派手さに引かれてではなく、余裕のなさに背中を押されて、指が先に動くのです。だから17%という数字も、頼りきりの度合いではなく、手を伸ばした人の割合として読むのが正しい。地域によって差もあり、とくに米州で速い。5,500人の農家に尋ねた調べなので、数字には幅もあります。それでも、いちばん土に近い現場で新しい道具がいちばん速く広がる、という順番のちぐはぐさは、覚えておく価値があります。答えを出す道具が増えても、その答えの重さを背負って畑に立つのは、やはり人のほうだからです。切実さが、いつも新しい道具を先に見つける。それは、農業だけの話ではないように思います。
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畑

子どものころ、夏になると、母の里の畑へ預けられた。二十年より、もっと前の話になる。祖父の畑で僕にあてがわれた仕事は、水やりでも草むしりでもなく、空を見上げている祖父の横に、ただ立っていることだった。祖父は人差し指を舐めて風に立て、雲の高さと色をしばらく見てから、「明日は降らん」とか「夕方にひと雨くるぞ」とか言った。当たる年もあれば、外れる年もあった。外れた年の夜は、肥料や種の値段の話を、大人たちが縁側で長いことしていた。子どもの僕に、その話の重さはわからない。わかったのは、麦茶の氷が溶けきるより長く、その話が続くことくらいだった。ただ、空を見上げる祖父の首の後ろが、日に灼けて赤黒かったことだけを、いまでも覚えている。
その畑を、いまは母方のいとこが継いでいる。継いだ、というより、ほかに継ぐ者がいなかった、というほうが近い。彼は平日は別の勤めがあって、畑に出るのは土日だけだ。この夏、僕は久しぶりにそこを訪ねた。いとこは軽トラの荷台に腰かけ、作業の合間に、土のついた手をズボンで払ってから、電話を取り出した。指の腹ではなく、爪の背で画面をつついている。指先が土で汚れているからだ。画面には、細かい土埃が斜めに筋を引いていた。「いまどき、これに植えどきをきくと、去年の天気まで見て答えるんだよ」。彼は土のついた画面を、僕のほうへ少し傾けてみせた。「マッキンゼーってところが世界じゅうの農家にきいてまわったら、二割近くが、もうこういう生成AIってやつを使い始めてるらしい。ロボットや電動の機械より、よっぽど早く広がってるんだと。とくにアメリカのあたりが早いってさ」。
「祖父ちゃんは、指を舐めて風を見てたよな」と僕は言った。
「あれも当たったよ。半分くらいはな」。彼は笑った。「でも、半分だ。いまは読み違えると、一年ぶんが飛ぶ。人手は足りないし、油も肥料も上がりっぱなしだ。半分に賭けていられる余裕は、もうないんだよ」。それから彼は、まるで関係のない声で、「そういえば、去年あの隅に居ついた猫、今年はまだ来ないな」と言い、畑の端に目をやった。
派手な最先端に憧れて、彼が電話をつついているのではないことは、見ていればわかった。半分では賭けられない、という切実さが、彼の指を新しい道具のほうへ運んでいた。
いとこは電話をしまうと、もう一度、空を見上げた。祖父がしていたのと、ちょうど同じ角度だった。
東京へ戻って、僕は自分の机の前に座った。畑はない。土も、天気を読んで赤黒く灼けた首の後ろもない。それでも、机の上には机の上の天気があって、締め切りがあって、やったことのない段取りがあって、手はいつも足りない。わからないことにぶつかるたび、僕はいつのまにか、いとことよく似た手つきで、機械にまず訊いている。新しいもの好きだから、ではない。憧れというのでもない。むしろ、短いのだ。時間が、人手が、そして自分の目で確かめるための余裕が。その日の午後だけでも、僕は同じ機械に、たしか四度は何かを訊いていた。
あとで調べると、マッキンゼーの調べは、世界のあちこちの農家、五千五百人ほどにきいてまわったものだという。だから二割という数字にも幅はあるし、どこの国も横並びで同じ、というわけでもないらしい。それでも、いちばん最先端から遠そうに見える畑で、いちばん新しい道具が、いちばん速く広がっている。その順番のちぐはぐさが、僕にはかえって腑に落ちた。切実な人ほど、道具を選り好みしている余裕がない。手近で、いちばんよく効きそうなものへ、考えるより先に、指のほうが伸びる。
もっとも、機械は空を見上げなくても答えを返してくる。けれど、外れた年のぶんを背負って畑に立つのは、やっぱり、いとこのほうだ。祖父がそうだったように。答えを出すことと、その答えの重さを引き受けることは、たぶん、初めから別々の手の仕事なのだと思う。
畑の話を聞いていたはずが、いつのまにか、自分の机の話になっていた。僕は開いたままの資料を一度閉じて、外へ出た。夕方の雲が、思っていたより高いところにあった。祖父なら、これは降らない、と言っただろうか。子どものころの真似をして、指を舐めて風に立ててみたけれど、風がどちらへ向かっているのか、僕にはやはり、うまくわからなかった。
マッキンゼー調査:世界の農家の17%が生成AIを農作業に利用、ロボットや電動機械より速く普及
マッキンゼー(McKinsey)の隔年調査「Global Farmer Insights 2026」で、世界の農家の17%が生成AIを農作業関連のタスクに利用しており、農業で最も速く広がっている技術の一つと判明した(Bloomberg 2026年9月8日(火)報道・Yahoo Finance / Insurance Journal 再掲で確認)。ロボット・電動機械・持続可能性向けソフトウェアが農場で伸び悩む一方で、生成AIだけが速く普及しているという相対的な結果で、「農業が最先端になった」という話ではない。この17%は生成AIを業務に利用している人の割合(利用率)であって、依存度ではなく、「農家がAIに頼りきり」という意味には読めない。また全世界一律でもなく、とくに米州(南北アメリカ)で採用が速いという地域差がある。調査は10か国・5,500農家を対象に2026年4〜6月に回答を集めたアンケート(標本調査)で、全数調査ではないため17%という数字には幅がある。採用の背景としてマッキンゼーは、投入コスト(種苗・肥料・燃料・人件費など)の高止まりと変動、人手不足、天候の不順、地域ごとの政策の不確実性といった切実な経営課題を挙げており、「効率化のため」と単純化できる話ではない。なお本調査は世界10か国が対象で、日本単独の割合を示すものではない。
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