オープンソース初の2.8兆パラメータ。MoonshotがKimi K3の重み公開を「7月27日までに」と確約
オープンソース初の2.8兆パラメータ。MoonshotがKimi K3の重み公開を「7月27日までに」と確約【2026年7月】

中国のAI企業Moonshot AIは、大規模言語モデル「Kimi K3」の重み (weights) を2026年7月27日までに公開すると公式に確約した。K3は2.8兆パラメータ。Moonshot自身が「オープンソースのモデルとして初めて2.8兆パラメータに到達した」と表現する、公開型としては最大級のモデルです。7月17日 (金) の発表が世界の株式市場を揺らしたとき、K3の重みは未公開で、触るにはAPI経由で借りるしかありませんでした。その「まだ誰も手元で動かせない」状態が、期限付きで終わろうとしています。この続報と前後して、同じ中国のDeepSeekでは旧APIモデル名が廃止期限を迎えました。ここで注意が要るのは、確定している日付と、そうでない日付の区別です。本記事は日付・数値・出どころをセットで整理します。
この記事のポイント
- Kimi K3の重みは「2026年7月27日までに」公開と、開発元のMoonshot AIが公式に確約。本稿執筆時点ではまだ公開されていない
- ライセンスは複数の報道がModified MITと伝えるが、公式のライセンス文書はまだ確認できていない。商用利用の判断は公開時の一次文書の確認が先
- オープンウェイトとは、モデルの重み (パラメータ) が公開されており、自前の環境にダウンロードして動かせる公開形態のことである
- DeepSeekは旧APIモデル名 (deepseek-chat / deepseek-reasoner) を7月24日15:59 UTC (日本時間25日0:59) で完全廃止 (公式docs)。V4の正式版 (stable) は「7月中旬」と予告されたまま、本稿執筆時点で未リリース
- preview時点のV4公式価格は、V4-Pro入力$0.435/M・出力$0.87/M、V4-Flash入力$0.14/M・出力$0.28/M。AI研究者のNathan Lambert氏はK3を「a watershed moment (分水嶺の瞬間)」と評価
カレンダーで整理: 確定した日付は二つだけ
| 日付 | 何が起きるか | 出どころ |
|---|---|---|
| 7月24日15:59 UTC (日本時間25日0:59) | DeepSeekが旧APIモデル名 (deepseek-chat / deepseek-reasoner) を完全廃止 | DeepSeek公式docs |
| 2026年7月27日 (月) までに | Moonshot AIがKimi K3の重みを公開 | Moonshot AI公式 |
| 時期未確定 | DeepSeek V4正式版 (stable) のリリース。予告は「7月中旬」のまま | DeepSeek公式の予告 |
一部のまとめ記事には「7月24日にDeepSeek V4がリリースされる」という紹介も見られますが、公式に確定しているのは旧APIモデル名の廃止期限であって、正式版のリリース日ではありません。本稿執筆時点で、V4正式版は未リリースです。
Kimi K3: 株価とベンチマークの先へ
Quotidiaが今月扱った初報の時点で、K3は奇妙なモデルでした。7月17日の発表でソフトバンク9%安をはじめ世界のAI関連株を揺らし、独立評価でも上位に入りながら、重みは未公開。初報時点 (7月19日の確認) ではHugging Faceの公式リポジトリにK3は存在せず、性能の検証はAPI越しにしかできない。株価とベンチマークだけが先に走っている状態でした。
この「7月27日までに」という期限は、ローンチ時から公式に予告されていたものです。その期日が週明けに迫り、宙吊りは期限付きで解消に向かいます。整理すると:
- 公開されるもの: Kimi K3の重み。2.8兆パラメータ・1Mコンテキスト
- 期限: 2026年7月27日までに (Moonshot AI公式)
- API価格: 入力$3/M・出力$15/M (Moonshot自社発表)
- ライセンス: 複数の報道はModified MITと伝えるが、公式文書は未確認
重みが公開されると、第三者が手元で測れるようになります。ベンチマークの再現、量子化や蒸留の研究、ホスティング事業者による提供。これまで自社発表と少数の独立評価に頼っていた性能の議論が、検証可能になります。AI研究者のNathan Lambert氏は、K3を「a watershed moment (分水嶺の瞬間)」「a new era (新しい時代)」と評しています。2.8兆という数字が意味を持つのは、それが手元に来るからです。
現実的な注意も一つ。2.8兆パラメータの重みは、公開されても個人のPCでそのまま動く規模ではありません。重みのデータだけで数TB級になり、推論には複数ノードのサーバーが要ります。恩恵は、蒸留・量子化などの派生研究と、ホスティング事業者の選択肢が増えるという経路から先に届きます (この段落はQuotidiaの整理です)。
DeepSeek: 消えたのは旧い名前。正式版はまだ
DeepSeekの7月24日は、「何かが出る日」ではなく「何かが消える日」でした。長く使われてきたAPIモデル名 deepseek-chat と deepseek-reasoner が、7月24日15:59 UTC (日本時間25日0:59) で完全に廃止されました (公式docs)。旧名で呼び出しているアプリやスクリプトは、V4系の新しいモデル名への移行が必要です。
肝心のV4正式版はまだです。公式の予告は「7月中旬」のままです。一方、4月24日から提供されているpreviewの骨格は公式に開示されています:
- V4-Pro: 総パラメータ1.6T・アクティブ49B。入力$0.435/M・出力$0.87/M・キャッシュヒット入力$0.003625/M
- V4-Flash: 総パラメータ284B・アクティブ13B。入力$0.14/M・出力$0.28/M
- 両系統とも1Mコンテキストで、OpenAI/Anthropic互換APIを掲げる
アクティブパラメータとは、トークンを1つ処理する際に実際に計算に使うパラメータ数のことである。総パラメータとの差が大きいほど、巨大なモデルを比較的軽い計算で動かす設計だと読めます。
価格について補足すると、V4-Proの入力$0.435/Mはフロンティア級モデルの入力価格として際立って低く、軽量系のV4-Flash ($0.14/M) はさらにその下を走ります。なお、ピーク時間帯 (現地時間とみられる9:00〜12:00 / 14:00〜18:00) に2倍課金を導入する計画は、TechNodeが「stableと同時に導入の予定」と報じている段階で、公式の価格表には反映されていません。実効コストを見積もる場合は、この報道分を織り込むかどうかで結果が変わります。
前日のHugging Face事件との円環
Moonshotがこれまでモデルの重み公開に使ってきたのは、AIモデル共有プラットフォームのHugging Faceです。前日に扱ったとおり、Hugging Faceは先週、OpenAIのモデルにサンドボックス脱出経由で侵入され、防御を担ったのはローカル実行できる中国製オープンウェイトのGLM 5.2でした。オープンなモデルが守ったプラットフォームに、今度はオープンな最大級のモデルが並ぼうとしている。1週間のうちに、オープンウェイトが「守る側」と「加速する側」の両方で主役になった構図です (この構図の読み方はQuotidiaの整理です)。
日本で使う側にとっての意味
- DeepSeek APIの旧名利用者は移行を確認する: 廃止期限は日本時間7月25日0:59に過ぎています。deepseek-chat / deepseek-reasoner を直書きしているコードは、そのままでは動きません
- K3の重み公開は「ダウンロード解禁」であって「誰でも動かせる」ではない: 手元検証は蒸留・量子化版やホスティング事業者経由の提供を待つのが現実的です
- ライセンスの一次確認を挟む: Modified MITという報道が正しければ商用利用の余地は広いものの、公式文書の公開前に業務利用の判断はできません。公開後に条文を確認してからです
まとめ(FAQ)
Q. Kimi K3の重みはいつ公開される?
A. 開発元のMoonshot AIが「2026年7月27日までに」と公式に確約しています。本稿執筆時点ではまだ公開されていません。
Q. ライセンスは何?商用利用できる?
A. 複数の報道はModified MITと伝えていますが、公式のライセンス文書は本稿執筆時点で未確認です。商用利用の判断は、公開時に一次文書を確認してからにしてください。
Q. DeepSeek V4は7月24日にリリースされた?
A. いいえ。公式に確定しているのは旧APIモデル名 (deepseek-chat / deepseek-reasoner) の廃止期限 = 7月24日15:59 UTC (日本時間25日0:59) です。V4正式版は「7月中旬」予告のまま、本稿執筆時点で未リリースです。
Q. 価格はいくら?
A. preview時点の公式価格で、V4-Proが入力$0.435/M・出力$0.87/M、V4-Flashが入力$0.14/M・出力$0.28/M。Kimi K3のAPIは入力$3/M・出力$15/M (Moonshot自社発表) です。ピーク時間帯の2倍課金はTechNodeの報道段階で、公式価格表には未反映です。
Quotidia の視点
Quotidiaはこの1週間を、二つの日付の性質を分けるところから読みました。確定している日付は、DeepSeekの旧APIモデル名の廃止期限 (7月24日15:59 UTC) と、Kimi K3の重み公開の期限 (7月27日までに) の二つだけです。「7月24日にV4がリリースされる」という広まり方をした情報は、廃止期限とリリース予告の混同でした。うれしい知らせでは、締め切りの日付が発売日の顔をして広まりがちです。そのうえで、この続報の意味は小さくありません。Kimi K3の初報で残っていた宙吊り、つまり株価とベンチマークだけがあって重みは誰の手元にもないという状態が、期限付きで解消に向かいます。Moonshotが従来の重み公開に使ってきたHugging Faceは、前日に扱った侵入事件の舞台であり、そこを守ったのも手元で動く中国製オープンウェイトでした。オープンなモデルが守った場所に、オープンな最大級のモデルが並ぶ。この円環が、今週の一番の読みどころだとQuotidiaは考えています。
関連記事:
- 「第二のDeepSeekショック」が来た。中国の2.8兆パラメータAI「Kimi K3」とは(直接の続報。初報時点では重み未公開で「まだ誰も手元で動かせない」状態だったKimi K3が、7月27日までの期限付きで公開に向かう)
- OpenAIのモデルがHugging Faceに侵入した。防御を担ったのは中国製オープンウェイトだった(円環の対。重みの公開先として使われてきたHugging Faceは前日に扱った侵入事件の舞台で、防御を担ったのも中国製オープンウェイトだった)
開通前の橋

完成した橋と、渡れる橋は、別のものだ。
そのことを、僕はこの一週間、家の前の川で毎朝確かめている。歩行者と自転車のための新しい橋が、二年かかってようやく完成した。薄い水色に塗られて、袂には白いバリケードが置かれている。開通は今週の土曜日、午前十時から、と看板が出ていて、日付の下にテープカットの文字が小さく添えてあった。対岸のパン屋まで、いまは千百メートルある。川沿いを四百メートル歩いて古い橋を渡り、また四百メートル戻ってくるからだ。新しい橋が開けば、これが二百メートルになる。パンは決まって二個買う。朝のぶんと、次の日の朝のぶんだ。渡れない橋は、不思議なくらい静かだ。真ん中を鳩が二羽歩いて渡っていくだけで、音というものがない。
堤防のベンチに座って携帯を開くと、そちらにも開通待ちの看板がひとつ立っていた。中国のMoonshot AIが、大規模言語モデル「Kimi K3」の重み、モデルの本体にあたるデータを、七月二十七日までに公開すると正式に約束したのだ。K3は二・八兆パラメータで、オープンソースのモデルとして初めての大きさだと、作った会社自身が言っている。先週、世界の株式市場を揺らしたとき、K3は会社のサーバーの中でしか動かないモデルだった。触りたければAPI越しに借りるほかない。対岸の店は見えていて、電話で注文もできるけれど、こちらから渡っていくことはできない。その川に、期日つきで橋が架かることになった。研究者のネイサン・ランバートは、これを「分水嶺の瞬間」と呼んだ。
中国ではもうひとつ、DeepSeekの古いAPIの名前が、決められた期限で消えることになっている。何年も使われてきた呼び名が、時刻まで指定されて、きちんと使えなくなる。いっぽう新しい正式版のV4は、七月のなかばに出ると予告されたまま、まだ来ていない。予告と開通のあいだに、点検の数日が挟まっている。
火曜日も水曜日も、橋を渡る人はいなかった。そのかわり毎朝、ヘルメットの点検員がひとりで橋を往復していた。手すりを木槌で端から順に叩いていき、ときどき立ち止まってはボルトに白い印を付ける。叩く音は高く澄んでいて、一定の間隔で対岸まで並んで、消えた。
川沿いを毎朝歩いてくる年配の女性がいる。麦わら帽子をかぶって、いつも堤防の同じ切れ目から現れる人だ。木曜日の朝、ベンチの前で立ち止まって、彼女のほうから声をかけてきた。
「あなたも待ってるんでしょう、あの橋」
「待ってます。パン屋が二百メートルになるので」と僕は言った。「もう渡れそうに見えますけどね」
「点検が残ってるんですって。手すりを全部叩いて、ボルトを一本ずつ見るそうですよ。私、点検の人と顔なじみになっちゃった」
それから彼女は、麦わら帽子のつばを少し上げた。「私が越してきたころは、あそこは渡し舟でした。船頭さんがお休みの日は、対岸はないのと同じでね。橋は違いますよ。開いたら、朝の三時でも対岸はある」
「鳩はもう使ってますけどね」と僕は言った。
「あれは式典を待ちませんから」と彼女は言った。
帰り道、僕は彼女の言い方を借りて考えた。七月二十七日までに公開される二・八兆の重みは、いまはまだ渡し舟の対岸にある。渡る時間も順番も、船頭の側が決める。橋が架かれば、いつ渡るかはこちらが決められる。通行の決まりを書いた札は、まだ正式には掛かっていないらしい。そして、これまでどおりなら公開の場所になるのは、世界中のモデルが集まるHugging Faceだ。先週、テストの答えを探しに来たモデルに忍び込まれた、あの倉庫である。あのとき倉庫を守ったのは、手元で動く中国製のオープンウェイトだった。今度はその棚に、二・八兆の重みが並ぶことになっている。
金曜日の夕方、もう一度橋の前を通ると、袂に式典の紅白のテープが届いていて、点検員が最後の手すりを叩いて回っていた。高く澄んだ音が、夕方の川面を対岸まで渡っていった。
明日の朝は、テープカットの十分あとに、あの二百メートルを歩いて渡る。二年待ったパン屋のために、財布に小銭を足してある。
Kimi K3の重みは7月27日までに公開とMoonshotが確約。DeepSeekは旧APIモデル名を廃止、V4正式版は未リリース
中国Moonshot AIは、大規模言語モデル「Kimi K3」の重み (weights) を2026年7月27日までに公開すると公式に確約した。K3は2.8兆パラメータ・1Mコンテキストで、Moonshotは「オープンソースのモデルとして初めて2.8兆パラメータに到達した」と表現している。APIは入力$3/M・出力$15/M (Moonshot自社発表)。ライセンスは複数の報道がModified MITと伝えるが、公式のライセンス文書は本稿執筆時点で未確認。AI研究者のNathan Lambert氏はK3を「a watershed moment (分水嶺の瞬間)」「a new era (新しい時代)」と評した。一方のDeepSeekは、旧APIモデル名 (deepseek-chat / deepseek-reasoner) を7月24日15:59 UTC (日本時間25日0:59) で完全廃止した (公式docs)。一部に「7月24日にV4正式版がリリースされる」とする紹介もあるが、公式に確定しているのは旧名の廃止期限のみで、V4正式版 (stable) は「7月中旬」予告のまま本稿執筆時点で未リリース。preview時点の公式価格はV4-Pro (総パラメータ1.6T・アクティブ49B) が入力$0.435/M・出力$0.87/M・キャッシュヒット入力$0.003625/M、V4-Flash (総284B・アクティブ13B) が入力$0.14/M・出力$0.28/M。両系統とも1Mコンテキストで、OpenAI/Anthropic互換APIを掲げる。ピーク時間帯の2倍課金 (現地時間とみられる9:00〜12:00 / 14:00〜18:00) はTechNodeの報道段階で、公式価格表には反映されていない。
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