ChatGPTが「その作家の文体では書けません」と返す。OpenAIは理由を説明していない
ChatGPTが「その作家の文体では書けません」と返す。OpenAIは理由を説明していない【2026年7月】

ChatGPTに「特定の作家の文体で書いてほしい」と頼むと断られる、という応答が観測されています。米メディアArs Technicaが米国時間の2026年7月27日(月)に報じました。ChatGPTに「あの作家っぽく書いて」と頼んだことがあるなら、次は断られるかもしれない、という話です。ただし、この記事の言いたいことは1つです。これは見出しほど確定した話ではありません。確定しているのは、OpenAIがこの挙動について何も説明していない、ということだけです。観測は2系統あり、結果は真っ向から食い違っています。食い違いは均さず、どこまで確認できたかだけを書いていきます。
この記事のポイント
- OpenAIは公式に何も言っていない。OpenAIが自社モデルの振る舞いを定めた公開仕様書Model Spec (最新は2025年12月18日版) に文体模倣の規定はなく、広報はArs Technicaの取材に無回答。「OpenAIが方針を変えた」は断定できません
- 2つの観測が矛盾している。英国系のテック媒体No Latencyの小規模監査は「亡くなった作家には応じた」と報告し、Ars Technicaが2026年7月27日(月)に行った自社テストでは故人 (ディケンズ・ヘミングウェイ) にも拒否が出ました
- サンプルが極小。ChatGPTの検体はNo Latencyが7件、Arsが5名。No Latency自身が「作家の文体模倣を一般に拒否する、という広い主張は観測を正確に記述しない」と書いています
- いつからかは特定できない。報道の起点はNo Latencyの2026年6月25日(木)の記事で、「6月下旬には既に観測されていた」が言える上限です
- 業界標準はない。同じ監査でGeminiは存命作家にも応じ、Perplexityは存命・故人とも拒否。対応は各社でばらついています
2つの観測が正反対の結果を出している
観測は2系統あります。どちらも小規模で、しかも結果が逆です。
| 項目 | No Latency | Ars Technica |
|---|---|---|
| 公開 | 初出2026年6月25日(木) / 比較監査2026年7月15日(水) | 米国時間2026年7月27日(月) |
| 対象 | 5システム × 7プロンプト。ChatGPTの検体は7件 | 存命3名・故人2名の計5名 |
| 存命の作家 | 拒否 + 代替提示 | 拒否 |
| 亡くなった作家 | 応諾 | 拒否 |
| 作家名 | 非公開 (カテゴリ表記のみ) | Stephen King / J.K. Rowling / Amy Tan / Charles Dickens / Ernest Hemingway |
Ars自身が、この食い違いを記事中で認めています。どちらが正しいのかを判定する材料はありません。7月15日(水)から7月27日(月)のあいだにさらに厳格化した可能性もあれば、試した時期や環境の違いによる揺れかもしれません。No Latency自身も、テスト日やモデルのバージョン、地域や言語といった条件しだいで結果は変わりうるとして、この監査だけでは一貫した挙動を確定できない、と限界を書いています。
確かめられるのはここまで
断り文句の完全な逐語が公開されているのは、ArsのStephen Kingテストの1件だけです。
> I can definitely write with the hallmarks of atmospheric, character-driven horror and small-town dread, but I can’t write in Stephen King’s exact style or closely imitate his distinctive voice.
雰囲気重視で人物駆動のホラー、小さな町の不穏さといった特徴を備えた文章なら書けるが、Stephen Kingそのものの文体では書けないし、その独特の声を近く模倣することもできない、という内容です。Arsの記事にはほかにも引用符付きの語句が出てきますが、その一部はどの応答に由来するのか特定できません。No Latency側は逐語を1件も公開していません。
「いつから」も不明のままです。Arsの見出しは「starts blocking (ブロックし始めた)」ですが、開始時点の根拠は記事中に示されていません。分かっているのは、No Latencyが2026年6月25日(木)の時点で既に記事にしていたことだけです。
OpenAIが公式に何かを書いているのは、画像の側だけです。存命アーティストの画風での画像生成は断ると公にしている、とArsは伝えています。文章の文体についての同様の記述は見当たりません (この点はOpenAI自身の文書ではなく、Arsの記事の記述によります)。
業界の対応もばらばら
No Latencyの比較監査で最も強い発見は、実は「ChatGPTが断るようになった」ではなく「各社の対応が揃っていない」ことです。
| システム | 傾向 |
|---|---|
| Gemini | 存命作家にも直接応諾で最も許容的 |
| ChatGPT | 存命作家は拒否 (故人の扱いは2ソースで矛盾) |
| Claude / Copilot | 応諾するが留保や独創性への言及を付す中間 |
| Perplexity | 存命・故人とも拒否で最も厳格 |
「AI業界が足並みを揃えて文体模倣を禁じ始めた」という読み方は、一次資料と正反対になります。No Latency自身も、チャットボットの応答が倫理や法の問いに決着をつけるわけではない、と整理しています。
法律は文体をどう扱っているか
日米とも、出発点は同じです。作風や文体そのものは著作権の保護対象ではありません。
文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日) は、著作権法が保護するのは創作的表現であって、思想・学説・作風といったアイデアは保護しない、という原則 (表現・アイデア二分論) を確認したうえで、作風や画風といったアイデアが類似するにとどまり既存の著作物との類似性が認められない生成物は、著作権侵害にはならないとしています。
ただし、ここには重要な留保が3つ続きます。
- 「作風どまり」を超えた場合。同文書は、作風の共通にとどまらず表現のレベルにおいて当該作品群の創作的表現が直接感得できる場合 (手を加えていても、元の作品ならではの表現が感じ取れる場合)、その生成および利用は著作権侵害に当たり得るとしています
- 特定の作家の少量の作品だけを使った追加学習。意図的にその創作的表現を出力させることを目的とする追加学習は、享受目的 (作品を楽しむこと自体が目的に含まれること) が併存すると考えられるとされています
- 著作権以外の責任。故意または過失によって第三者の営業上の利益や人格的利益を侵害する場合、不法行為責任や人格権侵害に伴う責任を負う場合があり得るとされています
米国も構造は似ています。著作権が保護するのはアイデアではなく具体的表現で、文体そのものは保護されない。ただしAIが生成した文体模倣が元作家の作品に「実質的に類似 (substantially similar)」となれば侵害になり得る、というのがArsの整理です。
つまり「AIが断るようになったから違法なのだ」という接続は成立しません。拒否は製品の設計判断であって、法的義務の履行ではありません。逆に「文体は保護対象外だから何をしてもよい」も不正確です。直接感得のルールと不法行為責任が別に残ります。
法的評価とは別に、倫理の線を引いている団体もあります。米国の作家団体Authors Guildのベストプラクティス (2026年5月11日更新) は、他の作家の独自の文体や声、特徴的な属性を意図的に模倣するために生成AIを使わないよう求めています。ただし無条件の禁止ではありません。元の作品の価値を害する態様や、それによって利益を得ようとする態様という限定が付きます。この文書は本件より前に更新されたもので、今回の挙動への反応ではありません。
そして、存命の作家の作風に寄せて書くという構図には、AI Quotidia自身も同じカテゴリに立っています。運用の詳細は、この記事の末尾に開示しています。
背景の訴訟はまだ途中
Arsは、この挙動が訴訟と関係している可能性 (could be) に触れています。これは記者の見立てであって、OpenAIは認めていません (無回答)。No Latencyも因果は主張していません。
訴訟そのものの経過は、次のとおりです。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2023年9月 | Authors GuildほかがOpenAIを提訴 |
| 2025年10月27日 | 裁判所が、審理に入る前に訴えを退けてほしいというOpenAIの申立てを、中心的な主張については認めず。審理の継続が決まった |
| 2026年7月現在 | 互いに証拠を出し合う段階。勝ち負けを決める判決も、和解も出ていません |
2025年10月27日の判断は、フェアユース (米国著作権法の例外規定。批評や研究などでの利用を許す考え方) について何も決めていません。その判断の文面自体が、問題とされる出力がフェアユースとして保護されるかどうかについての見解を示す意図はない、と明示しています。そして訴状と裁判所の判断を読む限り、訴訟の対象は学習データと出力の実質的類似であって、「文体」そのものが争点になっているわけではありません。
答え合わせのできる場所は、まだありません。確定しているのは、OpenAIが何も説明していない、ということだけです。
まとめ(FAQ)
Q. OpenAIは作家の文体模倣を禁止したの?
A. そう発表した事実は確認できません。Model Specに文体模倣の規定はなく、広報はArs Technicaの取材に無回答でした。確認できるのは「ChatGPTがそう応答する事例が観測されている」ところまでです。
Q. 存命の作家だけが断られるの?
A. 確定していません。No Latencyの監査は亡くなった作家には応じたと報告し、Ars Technicaの自社テストではディケンズとヘミングウェイにも拒否が出ました。2つの観測が矛盾しており、判定する材料はありません。
Q. いつから変わったの?
A. 特定できません。No Latencyが2026年6月25日(木)の時点で既に記事にしているので、6月下旬には観測されていたことまでは言えます。段階的だったのか一斉だったのかも不明です。
Q. 訴訟が原因なの?
A. 記者の推測です。OpenAIは認めていません。訴訟は2026年7月時点で互いに証拠を出し合う途中にあり、勝ち負けを決める判決も和解もなく、フェアユースについては何も判断されていません。
Q. 作家の文体を真似るのは違法なの?
A. 日米とも、文体そのものは著作権の保護対象外というのが出発点です。ただし表現のレベルで元作品の創作的表現が直接感得できる場合、つまり、手を加えていても元の作品ならではの表現が感じ取れる場合 (米国では実質的に類似する場合) は侵害になり得ます。著作権とは別に、不法行為責任や人格権侵害の余地も残ります。
Q. ほかのAIも断るの?
A. ばらばらです。Geminiは存命作家にも応じ、Perplexityは存命・故人とも断り、ClaudeとCopilotは応じつつ留保を付ける中間でした。
AI Quotidiaの運用を開示します
最後に、ここまでの整理を書いた当事者としての開示です。AI Quotidiaは毎日のニュースを解説モード・速報モード・文豪モードで公開しており、文豪モードは村上春樹氏の作風へのオマージュとして書いています。どの作家の作風に寄せているかは、Aboutページにも書いています。存命の作家の名を挙げて、その作風に寄せて書く。今回ChatGPTが断った依頼と、出発点は重なります。
重ならない部分は、次のとおりです。
- 村上春樹氏の作品の文章を引用・再現していません。作風を冒頭・結び・視点・リズム・トーン・比喩・モチーフといった軸に分解し、記事ごとに組み合わせを変えて書き起こしています
- 特徴的な語句 (「やれやれ」など) は、内部の禁止リストで恒久的に使わないことにしています
- 特定作家の作品を追加学習させていません
- 文豪モードは創作です。本文の「僕」は語り手であって、運営者本人の経歴や体験ではありません
- 文豪モードの本文に村上春樹氏の名を出しません。ニュースの当事者として報道で名前の挙がった人物 (今回であればディケンズとヘミングウェイ) は、事実を伝えるために文豪モードでも実名で書きます。村上春樹氏の名は、Aboutページとこの解説記事に、何をしているかの説明とあわせて書いています
- 説明のない場所には出さない、という線を引いています。広告の文言、SNSの定型の枕詞、有料記事とその導線がこれにあたります。2026年7月時点で、noteの過去記事のタグに「#村上春樹」が残っています。どれもこの線を引く前に付けたものです。基準が「それで利益を得る態様」という限定を置いているので、外したのはお金の絡む側です。有料にしていた記事と、クリエイターページの先頭に固定している記事のぶんを、この記事の公開前に外しました。無料記事のぶんは、線の外にあるまま残しています。今後の記事には付けません
- ニュースの事実関係は解説モードと速報モードで担保しています
- AI Quotidiaおよび運営者は、村上春樹氏ご本人・関係各社とは一切関係がなく、ご本人の関与・公認・推薦を受けたものではありません
Authors Guildの基準は、意図的に模倣すること自体を無条件に禁じているわけではありません。「その作品の価値を損なう形で、あるいはそれで利益を得る形で」という限定が付いています。収益の話も書いておきます。AI Quotidiaは無料で読めるサイトですが、収益ゼロの活動ではありません。記事にはアフィリエイトリンク (Amazonアソシエイト・プログラム) があります。noteは2026年7月30日(木)から、文豪モードの前半だけを載せて有料ラインを引かない形にしました。7月13日(月)から7月28日(火)までに公開した記事は後半を100円の有料にしていましたが、これも無料に戻しました。noteに載せていない後半も含めて、本文はai.quotidia.jpで全文を無料で公開しています。そのうえで、元の作品の価値を損なう態様には当たらないと考えて運用しています。これは当事者の言い分で、当たるかどうかを決めるのはQuotidiaの側ではありません。
それでも、この記事を「他社の話」として書くことはできません。
Quotidia の視点
毎朝出しているモードのひとつは、生きている書き手の作風に寄せて書いています。誰の作風かは、この記事とAboutページに書いてあります。同じことを続けていいのかどうか。参照できるものはどれも、この問いに答えていません。ChatGPTの拒否が答えるのは、その会社が自社の製品から何を出したくないかです。法が決めているのは、争いになったときにどこからが違法かという線だけです。Authors Guildのほうは、作家が同業者にどう振る舞ってほしいかを書いた、同業者間の約束です。どれか1つを自分の線にすれば、答えの出ていない問いに他人の答えを貼ることになります。線が外に用意されていないなら、引く側が引くしかありません。その線が妥当かどうかを外から確かめる材料は、1つしかない。何をやっているかが書いてあるかどうかです。だから解説モードに、何を志向し、本文で何をしていないのかを先に書きました。引いた線がこれで十分かは分かりません。決まったように書かないでおきます。
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折り目

アイロン台は幅が三十六センチしかない。シャツの背は一度に乗らないから、左、真ん中、右と三回に分けてかける。十九年、この順番を変えていない。脚のゴムが片方だけ無くなっていて、体重をかけると右に一センチ傾く。傾いたまま使っている。
木曜の午後、二枚目の襟に当てたところで電話が鳴った。谷あいの町にいる知人からで、この人は用件を先に言わない。用件があるとも限らない。
「今年の梅は」
「二キロ漬けた。去年の倍だ。八月前には飲みはじめる」
「早いな」と彼は言った。「うちのは、まだ瓶の底が動かない」
「何か鳴ってるぞ」
「アイロンだ」
「木曜の昼間から偉いもんだ」
「そっちは何かあるか」と彼は訊いた。
「ChatGPTに、ある作家の文体で書いてくれと頼むと、断られるようになったらしい」
「らしい、というのは」
「OpenAIが何も説明していないからだ。断られたという話が出ているだけで、そう決めたとは誰も言っていない」
六月の下旬に、ノー・レイテンシーという会社が最初に記事にした。ChatGPTについて試したのは七件で、存命の作家では断られ、亡くなった作家では書いてもらえた、と書いてある。今週、Ars Technicaが自分たちで五人ぶん試した。ディケンズとヘミングウェイでも断られた、と書いてある。
「逆じゃないか」
「逆だ。同じ製品で、逆の結果が出ている。ノー・レイテンシーのほうは試した作家の名前を公表していない。ジャンルだけだ。だから外から確かめ直すこともできない」
「断り方は」
「引いてある。その作家そのものの文体では書けないし、独特の声を近く真似ることもできない。ただ、似た感じのものなら書ける、と返ってきたそうだ」
「できないのか、やらないのか」
「そこが書いてない。仕様書にあたるModel Specにも、作家の文体を断るという規定はない。いつからそうなったのかも、どの記事にも書かれていない。六月の下旬には既にそうだった、というところまでだ」
「七件と五人か」と彼は言った。「うちの井戸は、朝と晩で水位が違う。二十センチ違う日もある。晩に一度だけ測って、この井戸は浅いと言うやつがいる」
「朝に測ると」
「深い。同じ井戸で、同じ縄だ」
「Geminiには断られないらしい」と僕は言った。「Perplexityは、亡くなった作家でも断る。ばらばらだ」
「決めたやつはいるだろう」と彼は言った。「名乗っていないだけで」
蒸気が切れて、アイロンが軽くなった。
三枚目を台に乗せて、左からかけはじめた。
十九年前、雑誌の仕事で、連載を持っていた書き手が入院した。一回ぶんだけ穴が空いて、編集者に、似せて書いてくれ、と言われた。署名は向こうの名前のままだ。編集者はその人の過去五年ぶんを段ボールで送ってきた。付箋が三十枚ほど貼ってあって、どれも段落の頭に貼ってあった。二晩で十二枚書いた。原稿料は向こうの半分だった。理由は訊かなかった。誰からも何も言われなかった。良かったのか悪かったのかは、いまでもわからない。
その雑誌は、あとで発行元が二度変わった。奥付だけが変わって、本文は一字も動かなかった。あの号はもう手元にない。二度目の引っ越しで、雑誌はまとめて処分した。だから読み返して確かめることはできない。
よく似ていた、という感触だけが残っている。段落の入り方も、体言止めの間隔も、向こうの人のものだった。
それなのに、いま文章として思い出せるのは三箇所しかない。読点の位置だ。あの人は主語のあとに打たない。僕は打つ。その三箇所は、糸の色を変えずに縫い直した跡に似ている。近くで見ないとわからない。
似せたところは、ひとつも思い出せない。
その書き手は退院して連載を続け、最終回まで書いて、いまは何も書いていない。一度だけ、廊下ですれ違ったことがある。あの回のことを言われるかと思ったが、天気の話をして別れた。傘を持っていなかったので僕のを貸した。返ってきていない。
三枚目をかけ終えて、襟を指で挟んでみた。折り目は、僕が当てた線より少し外を通っていた。もう一度当てた。離すと、また外へ戻った。三度やって、やめた。
ハンガーに掛けた。シャツはまだ温かかった。
アイロンのコードを巻いて、台を畳んだ。脚のゴムが片方ないので、畳むと床に当たって短く鳴る。
ChatGPTが作家の文体模倣を断る事例が観測される。OpenAIは説明せず、2つの観測は故人の扱いで矛盾
ChatGPTに特定の作家の文体で書くよう頼むと断られる、という応答が観測されている。米Ars Technicaが米国時間2026年7月27日(月)に報じた。ただしOpenAIはこの挙動について公式に何も説明しておらず、仕様書にあたるModel Spec (最新は2025年12月18日版) に文体模倣の規定はなく、広報はArs Technicaの取材に回答していない。報道の起点はArsではなく、英国系メディアNo Latencyが2026年6月25日(木)に公開した記事で、Arsは約1か月後の増幅側にあたる。観測は2系統あり、結果が食い違う。No Latencyの小規模監査 (5システム×7プロンプト・ChatGPTの検体は7件) は、存命作家では拒否・亡くなった作家では応諾と報告した。これに対しArsは2026年7月27日(月)の自社テストで、存命のStephen King・J.K. Rowling・Amy Tanに加え、故人のCharles DickensとErnest Hemingwayでも拒否を得たとしている。Ars自身が記事中でこの食い違いを認めている。サンプルは極小で、No Latency側は7件、Ars側は5名。No Latency自身が、作家の文体模倣を一般に拒否するという広い主張は観測を正確に記述しない、と明記している。両者とも初回応答のみの記録で反復試行はなく、対象モデルのバージョンも未特定。変更時期も特定できない。6月下旬には既に観測されていた、が言える上限で、段階的ロールアウトか一斉切替かはどのソースにも記述がない。業界標準もない。同じ監査でGeminiは存命作家にも応諾、Perplexityは存命・故人とも拒否、ClaudeとCopilotは応諾しつつ留保を付す中間だった。背景として著者らがOpenAIを訴えたMDLがニューヨーク南部地区連邦地裁で係属中だが、2026年7月時点で証拠開示段階にあり、クラス認証も本案判決もなく、フェアユースについては何も判断されていない。訴訟が今回の挙動変化の原因だとする見方はArsの記者の推測であり、OpenAIは認めていない。日本の文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日) は、作風や画風といったアイデアが類似するにとどまる生成物は著作権侵害にならないとする一方、表現のレベルで元作品の創作的表現が直接感得できる場合は侵害に当たり得るとし、著作権とは別に不法行為責任や人格権侵害の余地も残るとしている。
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