道路にマットを並べて5分測るだけ。NTT、水道管の漏水位置をAIで推定

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道路にマットを並べて5分測るだけ。NTT、水道管の漏水位置をAIで推定【2026年10月】

道路にマットを並べて5分測るだけ。NTT、水道管の漏水位置をAIで推定 インフォグラフ

NTTは2026年10月21日(水)、道路に敷いた光ファイバのセンサーとAIで、地下の水道管から水が漏れている位置を推定する実証を福岡市内で行い、水平誤差75cm以内での正解率が88%だったと発表しました。水平誤差は、地面を上から見たときの、推定した位置と実際の漏水位置のずれで、深さは含みません。測定そのものは5分で、解析まで含めて約15分で終わります。今回の対象は給水管 (道路の下の太い配水管から分かれて、家や建物へ水を引き込む細い管) で、地下30cmから120cmに埋まったものです。実証は2027年7月31日(土)まで続く予定で、2026年10月時点の発表は、その途中で出た成果にあたります。

この記事のポイント

  • 道路などに30cm四方ほどの装置を並べ、5分間、地面のかすかな揺れを測る。装置の中には光ファイバが組み込まれている
  • AIが装置どうしの揺れを比べ、ほかと似ていない揺れが出た地点を漏水の位置と判定する
  • 位置の推定が水平誤差75cm以内に入った割合は88%。耳で探す熟練者を育てるときの目標とされてきた「誤差80cm以内で正解率80%以上」を上回った
  • 何か所で試した結果なのか (分母) は公表されていない
  • これまでは熟練者が耳で音を聞き分けて位置を推定していて、その技術を身につけるのに数年かかっていた
  • 全国の水道事業者・自治体への導入は、NTTが「めざします」と書く目標の段階

地面の揺れから、漏れた場所をどう割り出すのか

光ファイバセンシングとは、光ファイバに光を通し、はね返ってくる光の変化から、ファイバに沿った振動や音を測る技術です。NTTの実証では、光ファイバを組み込んだ30cm四方ほどの装置 (集積化光ファイバデバイス) を、漏水が疑われる給水管の上の地面に並べます。装置は、車に積んだ光の測定装置「DAS」につながっています。DASとは分布型音響センシングのことで、光ファイバ全体を、振動を聞き取るマイクの列のように使う測り方です。

管から水が漏れると、そのまわりの地中にかすかな振動が生まれます。装置を敷いたら5分間、その揺れを測ります。AIは装置どうしの揺れがどれだけ似ているかを比べ、ほかの地点と似ていない揺れが出た地点を、漏水の位置と判定します。NTTはこの作業を「デバイスを現場に敷き、5分間の振動測定を行うだけのスキルレス作業」と説明しています。

役割は、計測とAIの解析がNTT、給水管の情報の確認と、実際に掘って漏水の位置を確かめるのが福岡市管工事協同組合です。実証は福岡市の「福岡市実証実験フルサポート事業」に採択されたもので、福岡市が協力しています。

88%は、何が当たった割合か

NTTが図で示した結果は次のとおりです。許す誤差を小さくするほど、当たる割合は下がります。

許す誤差 (水平) 正解率
15cm以内 47%
45cm以内 71%
75cm以内 88%
実務の目安 (耳で探す熟練者を育てるときの目標) 80cm以内で80%以上

正解率は、AIが推定した位置が、実際の漏水の位置から決められた距離の内側に入った割合です。88%は「漏水の88%を見つけた」という意味ではなく、位置の推定が75cm以内に収まった割合を指します。何か所・何回の測定でこの割合になったのかは、NTTのリリースにも福岡市の発表資料にも書かれていません。

これまでのやり方と、「熟練者並み」の意味

これまで漏水の位置は、人が耳で聴きとった音を頼りに推定してきました。NTTによると、その技術を身につけるには数年を要していました。NTTは「専門的なスキルを持たない作業者でも熟練者並みの15分程度で可能になります」と書いており、「熟練者並み」は主に作業時間についての表現です。精度の物差しは、耳で探す熟練者を育てるときの目標とされてきた「誤差80cm以内で正解率80%以上」で、88%はこれを上回りました。熟練者と同じ現場で並べて比べた数字は示されていません。

NTTは、この技術が「技術継承・人材不足の課題解決に貢献」することを、期待される成果として挙げています。

家の前の道路工事とどう関係するか

家の前の道路に工事の囲いが立ち、断水のお知らせが届く。漏れた水道管を直す工事なら、その前に、地面の下のどこで水が漏れているのかを突き止める必要があります。今回の技術が担うのは、その「どこを掘るか」を、地面の上から短い時間で絞り込む部分です。

発表の数字が対象にしている範囲は、次のとおりです。

  • 管: 配水管から分かれて家や建物へつながる給水管 (地下30〜120cm)
  • 使い方: 漏水が起きていそうな場所の上に装置を敷いて、位置を絞り込む (街じゅうの水道管から漏水を探し出す技術ではない)
  • 時間: 約15分は、5分間の測定から解析までの時間 (掘って直す作業は含まない)
  • 段階: 福岡市での実証の途中 (2027年7月31日(土)まで)。実用化の時期は書かれていない

NTTは、2026年11月18日(水)から25日(水)まで開く「NTT R&D FORUM 2026」で、この技術を展示する予定です。

まとめ(FAQ)

Q. NTTのAIは、水道管の漏水を88%見つけられるのですか?
A. 88%は、漏水の位置の推定が水平誤差75cm以内に収まった割合です。漏水そのものを見つけた割合とは別の数字で、何か所で試した結果なのかも公表されていません。

Q. 約15分で修理まで終わるのですか?
A. 約15分は、装置を敷いて5分間測り、AIが解析を終えるまでの時間です。実際に掘って確かめ、直す作業は含まれていません。

Q. 自分の住む地域でも使われていますか?
A. 2026年10月時点では、福岡市内での実証の段階です。NTTは全国の水道事業者・自治体への導入を「めざします」としていますが、時期は示していません。

Q. 「世界初」とはどういう意味ですか?
A. NTTは「光ファイバセンシングを用いた給水管漏水位置特定技術を世界で初めて実証」したと説明しています。福岡市も、2026年9月8日(火) に実証の開始を発表した資料で「世界初」と記しています。いずれも両者による位置づけです。

検証メモ(出典と確認の範囲)
  • NTTのニュースリリース「世界初、光ファイバセンシングとAIにより熟練者並みの水道管漏水位置特定に成功」(2026年10月21日(水)) のHTML原文と、掲載の図2点 (システムの全体図 / 振動の特異性と、誤差の要件ごとの達成確率) によります。
  • 15cm以内47%・45cm以内71%・75cm以内88%と、実用水準の線 (80cm・80%) は図2の値です。
  • 実証期間 (2026年9月8日(火)から2027年7月31日(土)まで) と対象が給水管であることは、福岡市の発表「光ファイバセンシング技術を活用した漏水箇所の特定に向けた実証実験を開始します!」(2026年9月8日(火)・PDF 1ページ) によります。
  • 正解率の分母 (測った地点の数・回数) は、NTTのHTMLと福岡市のPDFのどちらにも記載がありません。
  • 「熟練者並み」はNTTの表現で、原文では「専門的なスキルを持たない作業者でも熟練者並みの15分程度で可能になります」と作業時間について使われています。「世界初」はNTTのリリースの表現で、福岡市の発表資料にも「世界初」とあります。「全国の水道事業者・自治体への導入展開をめざします」は今後の目標です。
  • 2026年10月21日(水) 時点の確認による情報です。

Quotidia の視点

NTTは88%の手前に、許す誤差を45cmまで縮めると71%、15cmなら47%という数字も図で出している。NTTが実務の目安として挙げるのも「80cm以内で80%以上」で、掘る場所を1点に決め打ちするための精度ではない。この技術の売りは、数字よりも、装置を敷いて5分測るという作業の側にある。熟練者が数年かけて身につけてきた耳を、敷いて測る手順に置き換えられるなら、音を聞き分けられる人が少ない地域でも、どこを掘るかを決められるようになる。NTTは周囲に雑音がある中でも特定できるとしている。ただ、車の行き交う昼間の道路でどこまで通用するのか、条件ごとの数字は出ていない。熟練者と比べられるのも、いまのところ15分という作業の時間だけだ。

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